中耳炎
小児急性中耳炎
急性中耳炎は高頻度に小児が罹患する上気道炎です(1歳までに62%、3歳までに83%が少なくとも1回罹患すると報告されています)。現在は鼓膜所見を重視した診断により抗菌薬の使用を必要とするものとしない症例を鑑別することが重要とされ、ガイドラインを参考とした治療を行います。
反復性中耳炎(1年に4回以上中耳炎に罹患)に対しては、漢方薬の投与や、短期間留置型の鼓膜チューブ留置が有効である場合があります。低年齢である場合、チューブ留置には全身麻酔が必要となることがあり、適宜入院ができる施設を紹介します。
小児滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は就学前に90%が一度は罹患します。ほとんどは3か月以内に治癒しますが、30~40%は再燃、5~10%は治癒までに1年以上を要し、長期にわたる医学的管理を必要となることがあります。長期に未治療の状態が続くと難聴による言語発達の遅れ、学習の妨げが生じることが懸念されます。癒着性中耳炎などの鼓膜・中耳の病的変化へ移行することもあり、明らかな聴力障害、鼓膜の病的変化の強い症例では鼓膜チューブ留置を行った方がよい場合があります。
好酸球性中耳炎
気管支喘息や好酸球性副鼻腔炎に合併する難治性の中耳炎です。耳管開放症を伴うことが多く、発症年齢は40-50歳前後が多いです。中耳貯留液から好酸球が認められれば確定診断となります。手術適応は原則として行われず、局所治療と抗アレルギー薬の全身治療による保存的な治療となります。6割が骨導聴力が上昇、6%が聾となるとされ、長期的な管理が必要です。