難聴
突発性難聴
原因が不明または不確実な突然発症する高度の感音性難聴です。30-60歳に多く、通常は一側性です。すぐに治療を行う必要があり、聴力が固定してからでは治療効果が望めないとされています。原因不明であるため、病態に基づいた治療法がなく、経験的に効果がある治療法(ステロイド剤の投与など)が行われます。高気圧酸素治療の適応があり、必要に応じて高気圧酸素治療がある施設を紹介します。
低音障害型感音性難聴
急性、あるいは突発性に耳の症状(耳閉塞感、耳鳴、難聴、自声強聴)が発症する疾患のうちで障害が低音域に限定された感音性難聴を呈する疾患です。多くの場合は原因が不明ですが、内リンパ水腫の関与が指摘されています。治療としては浸透圧利尿薬を投与するのが一般的です。突発性難聴に準じてステロイド剤などの投与を行うこともあります。
外リンパ漏
鼻かみ、重量物運搬、ダイビング、爆風、飛行機搭乗など耳に圧がかかった際に内耳リンパ腔と周囲臓器の間に瘻孔が生じて難聴、めまい、耳鳴などが生じる疾患です。ステロイド剤内服など保存的な治療をまず行いますが、治療が無効な場合や進行する場合は手術が必要となるため、必要に応じて手術ができる施設を紹介します。
加齢性難聴
身体機能低下の一種で、加齢に伴う生理的な変化として両側の感音難聴を示す疾患です。補聴器の適応がある場合があり、必要に応じて補聴器指示書の作成し、補聴器センターを紹介します。補聴器装用による聴覚刺激は認知症の予防にも有効とされています。
副鼻腔炎、嗅覚障害
急性鼻副鼻腔炎
急性に発症した鼻副鼻腔の感染症で、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感など伴います。副鼻腔における感染症の多くはウィルス感染による急性鼻炎に続発した細菌感染により生じます。小児では後鼻漏により湿性咳嗽を訴えることが多いです。日本鼻科学会より急性副鼻腔炎のスコアリングシステムが示されており、それに基づいた治療の選択を行います。
慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎の診断は3か月以上継続する鼻症状、鼻汁もしくは鼻茸の存在、後鼻漏の確認、画像検査で行います。鼻茸がない場合はマクロライド少量投与で、かなり治癒が期待できます。また鼻茸に好酸球がない副鼻腔炎では必要に応じて鼻内内視鏡手術と術後のマクロライド療法で治癒が期待できるため、手術が必要と判断される場合は手術可能な施設を紹介します。
好酸球性副鼻腔炎
両側の多発性鼻茸と粘調な鼻汁を認め、高度の鼻閉と嗅覚障害を示す、成人発症の難治性副鼻腔炎です。抗菌薬は無効であり、ステロイドの内服にのみ反応します。鼻腔内に鼻茸が充満しているため、鼻副鼻腔手術で鼻茸の摘出を行っても、すぐに再発することが多いです。また鼻閉と嗅上皮の障害により嗅覚は消失することがあります。指定難病であり、当院では、コーンビームCTを用いて副鼻腔炎の状態、鼻茸からの生検にて好酸球浸潤を確認し、好酸球性副鼻腔炎の診断がつけば難病の申請書を作成します。
嗅覚障害
副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、感冒後、外傷などにより嗅覚障害が出現します。原疾患と治療とともに、必要に応じてステロイド点鼻、亜鉛製剤、漢方薬などにて加療を行います。